2026年2月1日(日)に実施された第38回社会福祉士国家試験。受験された皆さま、本当にお疲れ様でした。現在、試験から2日が経過し、SNSや資格スクールの速報掲示板では「過去問と全然違う」「難化しすぎ」「見たことのない用語ばかり」といった悲鳴に近い声が溢れています。
特に今回の試験は、2025年度(第37回)から導入された「新カリキュラム」に基づく2度目の試験として、非常に注目されていました。質問者様が感じられた「過去問や模試では7~8割取れていたのに、本番で手も足も出なかった」という感覚は、実は今回の受験生の多くが共通して抱いている感想です。
なぜこれほどまでに「過去問との乖離」が起きたのか。プロの視点から、今回の試験の傾向と今後の展望を詳しく解説します。
1. 第38回(2026年)試験の全体傾向:暗記から「思考・応用」への完全シフト
新カリキュラム2年目の「本気」
昨年の第37回試験は、新カリキュラム初年度ということもあり、出題者側も若干の「手探り感」がありました。しかし、今回の第38回試験では、新カリキュラムの本来の目的である「実践的な思考力を持つ社会福祉士の養成」に向けた出題傾向がより鮮明になりました。
従来の試験では「用語の意味」を問う問題が中心でしたが、今回は「その制度を現場でどう適用するか」「複数の制度を組み合わせた場合の優先順位は何か」といった、文脈を読み解く力が求められる問題が激増しました。これが、過去問演習を中心に行っていた受験生が「見たことがない」と感じた最大の要因です。
基礎知識を問う形式の変容
「基礎的な知識が少なかった」という感想についても分析が必要です。実際には、基礎知識が不要になったわけではありません。しかし、その問われ方が「一問一答的」ではなく、長文の事例や、複数の法律をまたいだ横断的な選択肢の中に組み込まれていたため、知識を「点」で覚えていた受験生にとっては、知識として認識できなかった可能性が高いです。
2. なぜ「過去問7.8割」でも解けなかったのか?
「過去問の丸暗記」の限界
社会福祉士試験において、過去問は依然として重要です。しかし、近年の傾向として、過去に出た問題の「焼き直し」は減少傾向にあります。特に今回は、最新の社会情勢(ヤングケアラー支援、孤立・孤独対策、ICTを活用した相談援助など)を反映した新傾向の問題が多く、これらは当然ながら10年前、5年前の過去問には載っていません。
「模試」と本番のギャップ
各予備校が作成する模試は、どうしても過去の出題傾向に基づいて作成されます。新カリキュラムへの移行期においては、模試の予想以上に試験問題が進化(あるいは複雑化)してしまうことがあり、今回の試験はそのギャップが顕著に現れた年だと言えるでしょう。
3. 科目別の難易度と注目ポイント
共通科目の動向
「人体の構造と機能及び疾病」や「心理学的支援」といった科目は、より臨床的、かつ実践的な内容に踏み込みました。また、「社会保障」に関しては、毎年のように改正される最新の法制度だけでなく、その背景にある財政問題や統計データとの照合を求める問題が出題され、非常に高いハードルとなりました。
専門科目の動向
「相談援助の基盤と専門職」や「相談援助の理論と方法」といった、新カリキュラムで再編された科目が勝負を分けました。事例問題の文章量が以前よりも増加し、1問にかける読解・判断の時間が削られたことで、後半の科目で息切れしてしまった受験生が多かったようです。
4. 今後の合格ライン(合格点)の予測
受験生の皆さんが最も気にしているのは合格ラインでしょう。一般的に、社会福祉士試験の合格基準は「総得点の60%(90点)を基準とし、問題の難易度で補正する」とされています。
補正の可能性は高い?
今回の「難化」という受験生全体のフィードバックが、実際の正答率として現れた場合、合格点は90点を下回る可能性も十分に考えられます。第35回、36回のような100点を超える高得点決戦ではなく、第37回以降の「90点前後」の攻防が続くと予想されます。ただし、不適切問題の有無や全体の平均点に左右されるため、現時点では「自己採点で一喜一憂しすぎないこと」が大切です。
5. 最後に:自分を責めないでください
「自分の実力不足」と仰っていますが、過去問で7~8割を取れるまで学習を積み上げたことは、間違いなく確かな実力です。問題は、その実力を発揮させる「場」が、想像以上にドラスティックに変化してしまったことにあります。これは努力の方向性の問題ではなく、試験制度の過渡期に立ち会った受験生の宿命でもあります。
まずは試験勉強で削ってきた睡眠や休息をしっかり取り、心身を休めてください。合格発表(3月上旬)まではまだ時間があります。今の自分にできることは、全力を尽くした自分を労うことだけです。本当にお疲れ様でした。

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